竹田クリエイティブディスカッション

2020年10月31日

オランダのまちづくりの手法を活かしてエリアビジョンを考える

株式会社地域科学研究所と日蘭建築文化協会と共催で、大分県竹田市の城下町エリアビジョンを考える「クリエイティブディスカッション」というワークショップ(3日間)を開催しました。

大分県竹田市の城下町エリアは、急激な人口減少により、30年前に約3,000人いた人口が、現在約1,000人になっています。将来のまちのビジョンを考え、まちがより面白くなるためのビジョンづくりを、オランダ人建築家を招き、竹田市の町の方々、大分大学工学部の学生の方々と一緒に行いました。

オランダのアーバンデザイン手法とは?

九州の面積ほどのオランダでは、都市のデザインという概念が古くからあり、アーバンデザインという言葉でまちづくりを考える手法があります。オランダのアーバンデザイン手法は、大きく5つのステップで行われます。

①都市を分析する

②議論する

③指標の設定

④コンセプト(概念)、アイデンティを決める

⑤具体的な空間設計提案

この手法について、オランダ人建築家の竹内さん(日系オランダ人)にレクチャーしていただきました。


城下町エリアフィールドワーク

まずは、城下町エリアの特徴をつかむために、エリアに住む方々や、プレイヤーを知るためのフィールドワークを行い、城下町エリアの課題や可能性を見つけていきました。稲葉川という川に沿って城下町が形成されていることから、川の周辺部から歩き、商業機能が残る駅前エリア、竹田市立図書館などがある文教エリアをまわり、城下町の特徴を把握していきました。四方2キロメートルほどの城下町エリアを歩くことで、エリアの特徴や活用の可能性が見えてきました。

竹田市にも協力いただき、株式会社地域科学研究所で運用サポートをしているGISシステムデータを活用し、城下町エリアにある公共施設、空き家、地形的特徴の情報とフィールドワークで得られた情報を組み合わせてエリアの特徴をまとめていきました。


城下町エリアの強み、弱み、可能性から、コンセプトをクリエイティブディスカッション

エリアの強み、弱みを整理し、そこから竹田の城下町らしさ(アイデンティティ)はなにか?コンセプトとなる特徴について、ディスカッションを行っていきました。

竹田の城下町エリアは、周辺部の農村地帯の商業地として昭和の時代に発展した町です。歴史的背景がアイデンティティとなり、400年続いてきた城下町エリアをいかに暮らしやすく持続させることができるのか?持続可能性についての指標が一つの目標となるのではないかという議論が進んでいきました。

竹田の城下町エリアは、昭和の初期にかけて増加してきた人口需要に対して、敷き詰めるように家が建っています。現代においては、住居密度が高いため、空き家の増加が景観を損ねることや、浄化槽が設置しづらいなどといった弊害が増えてきています。竹田市の移住政策等によりアーティストが移住し、新たに空き家を利用した魅力的なゲストハウスやイタリアンレストランもできています。しかし、今後、さらに人口減少が進むと、荒廃する家も増え、ゴーストタウンのような風景になるというリスクもあります。

ディスカッションではこのリスクに対して、空き家をただ活用するだけでなく、積極的に空地を作り、緑地化することで景観をさらによくすることができるのではないか?というアイディアが生まれました。城下町エリアでは、浄化槽の整備率が低く、汚水が川に流れているという課題もあり、緑地化する際に、地中に浄化槽を埋め共同浄化槽とすることで、浄化槽の普及を推進することもできるのでは?という意見もでてきました。城下町の持続的な発展という目標を緑地化により実現するというコンセプトになっていきました。

今後、これを実現するためのプロジェクトも行政や城下町の人を巻き込み、スタートする予定です。



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